お悔やみ花とは、亡くなられた方やご遺族に哀悼の気持ちを伝えるための花の総称です。 大きく分けると、次の4つのシーンがあります。

• 通夜・葬儀・告別式に飾るスタンド花・アレンジメント
• 自宅の仏壇や祭壇に供える仏花（ぶっか）
• 四十九日や一周忌などの法要に贈る花
• 命日・月命日・お盆などに贈るお供え花・花束

「訃報直後から四十九日まで」「一周忌以降」など、時期によってふさわしい色や雰囲気が少しずつ変わります。 まずは大まかなイメージを押さえておきましょう。

• ご逝去〜四十九日まで：白を基調とした落ち着いた色合いが中心
• 四十九日〜一周忌：白＋淡い色（薄いピンク・淡い紫など）も許容されることが多い
• 一周忌以降：故人の好きだった花や色を取り入れるケースが増える

※宗派や地域によって異なる場合があります。迷ったときは、ご遺族や式場・寺院に確認するのが安心です。

日本では仏教形式が多いですが、神道やキリスト教の式も増えています。 ここでは、ごく一般的なポイントだけ押さえておきましょう。

仏教の場合

• 菊・カーネーション・ユリ・トルコキキョウなど、落ち着いた花がよく用いられる
• 白を基調に、淡いピンク・紫・クリームなどを合わせるのが一般的
• トゲの多いバラや、原色に近い真っ黄色・真っ赤は控えめにすることが多い

神道の場合

• 白い花を中心にした清らかな印象のアレンジが好まれる
• 榊（さかき）が用いられることも多い

キリスト教の場合

• 白いユリやカーネーション、バラなど、白を中心とした花が一般的
• 「供える」よりも、「捧げる」イメージで、祭壇や棺のまわりを花で飾ることが多い

宗教による絶対的なタブーというよりも、「一般的にそうすることが多い」という目安です。 不安な場合は、案内状や斎場の表記を確認し、わからなければ「宗教形式に合うように」と花店に相談してみてください。

ご自宅の仏壇に供える花は、日常の仏花と、命日・お盆などの特別なお供えで少し考え方が変わります。

日常の仏花

• 菊・カーネーション・小さめのユリ・スターチスなど、長持ちする花が◎
• 白＋淡い色合いでまとめると、毎日見ても疲れない落ち着いた印象に
• 花瓶の口に合ったサイズを選び、水替えがしやすい長さにしておくと管理が楽

命日・月命日・お盆の仏花

• いつもの仏花よりも、少しボリュームを出したアレンジや花束にする方も多い
• 故人が生前好きだった色や花を、差し色として一部取り入れると心温まる
• ご家族が高齢の場合は、花瓶にそのまま入れられるタイプの仏花アレンジも便利

仏壇は日々手を合わせる場所です。派手さよりも「清らかで穏やかな印象」を大切にすると、どの年代の方にも受け入れられやすいでしょう。

法要は、故人を偲び、節目ごとに感謝と祈りを捧げる大切な時間です。 ここでは代表的な法要ごとに、一般的なお花のイメージをまとめます。

ご自宅で行う法要に持参する場合は、そのまま飾れるアレンジメントタイプが人気です。 会場が狭い場合や、花瓶の数が限られている場合でも置き場所に困りません。

親族同士でスタンド花を出し合う地域もあれば、コンパクトなお供えで済ませる地域もあります。 「周りの方とボリュームを揃えたい」というときは、喪主の方にさりげなく確認しておくと安心です。

命日・月命日の花は、「忘れていないこと」をそっと伝える贈り物です。 ご実家やご親族の家が遠方の場合は、宅配での手配も一般的になっています。

• 白を基調に、淡いピンクや紫をアクセントにした柔らかな印象が◎
• ご高齢のご家族には、水替えが簡単なアレンジメントタイプが喜ばれやすい
• 故人が好きだった花（桜・向日葵・バラなど）を季節に合わせて一部取り入れるのも心温まる

月命日は毎月めぐってきます。
「毎回大きなお花を用意するのは負担…」という場合は、 適度なボリュームの定期便タイプや、長持ちしやすい花材をメインにした仏花を選ぶと続けやすくなります。

直接伺えない場合や、仕事関係の方へお悔やみの花を贈りたい場合は、宅配や生花店からの配送が便利です。 その際は、次のポイントを押さえておきましょう。

• 到着日は、葬儀・法要の日程に合わせる
  通夜・葬儀の日に合わせる場合は、斎場が受け取り可能な時間かどうか確認を。
• 送り先の名義
  個人宛か、喪主・ご家族連名か、勤務先名かを確認しておく。
• メッセージカードの書き方
  「ご冥福をお祈り申し上げます」「安らかな眠りをお祈りいたします」など、簡潔で丁寧な言葉を添える。
• 夏場の配送
  気温が高い時期はクール便対応や、長持ちしやすい花材を選ぶと安心です。

会社宛にお悔やみの花を送る際は、
「社内のどこに飾られるか」「個人あてにするか会社名義にするか」など、事前に担当の方へ確認しておくと丁寧です。

Q. 真っ白なお花だけでまとめるべきですか？

A. ご逝去直後〜四十九日頃までは白を基調にするのが一般的ですが、 ご遺族の希望や地域の慣習によっては、淡い色を合わせることもあります。 迷う場合は「白を中心に落ち着いた印象で」と花店に伝えると安心です。

Q. バラやカーネーションはお悔やみにはふさわしくない？

A. 最近では、トゲを落としたバラや、落ち着いた色のカーネーションをお悔やみ花に使うケースも増えています。 派手な原色やラメ入りなどは避け、上品なトーンでまとめれば失礼にはあたりません。

Q. プリザーブドフラワーやアートフラワーでも良いですか？

A. 「生花でなければならない」という決まりはありませんが、宗派やご家族の考え方によって受け止め方が変わります。 長く飾ってほしい場合や施設宛てなどには喜ばれることも多く、
不安な場合は「長く飾れるものでも差し支えありませんか」と一言確認しておくと安心です。

Q. いくらくらいのものを選べば良いでしょうか？

A. 個人として贈る場合は、3,000〜10,000円程度の花束・アレンジメントが一般的です。 親族一同や会社として贈る場合は、10,000〜30,000円前後のスタンド花・大型アレンジを選ばれることもあります。

お悔やみ花には、宗教や地域ごとの慣習があり、 「正解はこれ」と言い切れない部分も多くあります。

しかし共通しているのは、故人を偲ぶ気持ちと、ご遺族を思いやる心です。 白を基調に落ち着いた色合いを選ぶ、派手すぎる装飾は避ける、メッセージを簡潔に添える── こうしたポイントを押さえたうえで、「その方らしさ」を花に託してみてください。

どのお花がふさわしいか迷ったときは、「故人はどんな方だったか」「ご遺族の負担にならないか」を思い浮かべてみると、自然と答えが見えてきます。